20歳(満18~19歳)が陸軍要塞で強盗殺人し死刑判決

1927年10月25日 (昭2)
和歌山県
死者:1人
兵庫県津名郡(淡路島)の由良要塞で、人夫(20)が門崎砲台監守舍に押し入って就寝中の軍曹(27)の頭を棍棒でめった打ちにして殺害、軍曹の妻(20)を縛ってレイプして4円18銭を強奪して逃走、犯人捜索隊に加わり軍曹の死体を病院に運んだりしていたが逮捕された。陸軍基地で人夫になったため金には不自由せず映画やエロ本に熱中し、17歳から遊廓通いをしていた。青年団員の郵便貯金集金係として集めた19円を遊びのため使い込んでしまい、盗みを思い付いたもの。この年の銀行員大卒初任給70円。

 深く罪を悔いている様子を見せていたが、11.27の夜10時に洲本刑務所を脱獄した。枕で布団を膨らませ、アルミニュームの弁当箱を頭の代わりにして寝ているように見せかけて、隠し持っていた古釘一本で天井板を破り、天井裏を通って電話線修理用の扉から出たもの。育ての親である叔父宛に「脱獄して大阪に逃走する」という内容の手紙を出してから、小さな漁船を盗んで帆を張って流れの激しい海峡を夜中に渡って和歌山市まで逃走、11.29に捕まった。「一度外へ出てみたくてたまらず、紀州へ上がり活動写真を見たら面白かった」と語る。一審二審とも死刑判決。
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