家出少年ふえる 歌手や俳優志願 断わられると強盗も 読売新聞引用

1959年04月15日 (昭34)
山口県
(前略)昨年は都内で保護された家出少年が1万5839人、三十二年より3142人も多く、家出人総数(2万209人)のうちで占めた割合が73.72%と戦後の最高を記録した。家出の動機をみると、東京へのあこがれと職さがしが40%に達しているが、これにつぐ新しい傾向としてでてきたのがノド自慢大会などの流行による「芸能人になりたい」「顔をみたい」などの家出。
このため同課(※警視庁少年課)が都内各署を通じ歌手、俳優、舞踏家、落語家など芸能人873人の協力を求めてさらに調べたところ、昨年中の「あこがれ少年」の訪問数は4418人で、この大部分が家出少年とわかった。この統計によると、15歳が25%で886人、14歳が15.4%となっているが、半数は中学生、ついで高校生、小学生、商店員、女中の順で大学生も15人いた。

訪問の目的は「顔がみたかった」という単純なものが93.6%、また再三ファン・レターを出したが、返事をくれないので山口県から出てきた少女(18)などもいるが、「芸能人になりたくて」(5.3%)のなかには、農村の生活にあきたらず、声がいいとおだてられて青森県から家出したもの、断られてもなにか他に仕事を世話してくれるだろうと石原裕次郎を頼って富山県から出てきた少年などもある。
あこがれる芸能人の順序は歌手がトップに俳優、プロレス、野球選手と続き、家出少年の出身地は全国的だが、大阪、新潟、青森、愛知各県が目立っている。もちろんほとんど門前払いで保護者、児童相談所に引き渡しているが、強引に粘って女中として俳優に引き取られた少女が一人、浪曲、プロレスの弟子入りもそれぞれ一人ずついる。また逆に面会強要で検挙されたのが二十人、ヤケのあまり芸能人宅で強盗、窃盗、恐かつ、投石などのいたずらを働いたもの六人。
そのおもな例としては▽千葉県の無職少年(16)は昨年四月二日、十二月三十日の二回少女歌手の松島トモ子さんに脅迫状を送り「二百万円送らねば命をもらう」とおどし碑文谷署で検挙。また▽目黒区高校二年生(17)は歌手にあこがれ、楽器やテープレコーダほしさから昨年十二月までに歌手大津美子さんら数人の歌手宅の郵便箱をこじあけ、現金入りのファン・レターなど二十万円を盗み、本年一月二十四日検挙、などがある。(後略)
(読売新聞4・15夕刊)
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