少年少女の犯罪に 驚くべき新傾向 普通の家の子女で手段も巧に 完成した調査で判明 東京朝日新聞引用

1931年03月13日 (昭6)
長崎県
昨年から本春にかけて帝都を中心に隣接郡部にわたり満二十歳以下の少年犯罪が著るしく激増し犯行も日増しに理智的傾向を帯びてくるので警視庁当局では従来の取締方針を改める必要に迫られその前提として「少年犯罪調査」をしてゐたが略出来上り近く内務省、検事局を始め感化院、一般保護団体等の参考に供することになつた。昨年中刑法犯で検挙された少年少女は男四千四百六六五名女三百九十名計四千八百五十五名に達し犯罪別に見ると男の方では殺人七件、過失致死六件、放火十件、強盗六十件、窃盗二、八一三件に達し女の方では殺人一件、過失致死四件、放火四件、詐欺恐喝一五件、賭博一五件、窃盗三〇四件といふ数字を示して居る。

女の犯罪として詐欺、恐喝、賭博等の新しい傾向があることは見のがすことが出来ない、一方男の犯罪は例の長崎町の人妻殺しと三田の女謡曲師匠殺しを始め犯行手段はいづれも大人の前科何犯の曲者にも勝る智的犯行であり年齢は十八歳未満者が多い。本年に入つてからは強盗六件、放火四件、その他詐欺横領十一件があるが強盗なども以前は二人か三人で行つたものが最近は単独でやるため捜査も困難といふ状態である。原因は三四年前まではカフエーとか活動写真等の耽溺が多かつたが昨年来は利欲七五八、失業七〇二、貧困三三四等が筆頭となつて居るし、境遇別から児ると従来親のない家庭に多く犯罪が発生したのと反対に父母共現存するもの三,二五四名が第一位で父亡き者、母亡き者の順で継父継母の処にはこれ又犯罪が激減して居る、更に職業別に見ると職無き者三,一九五名がもつとも多く次は商店員その他の奉公人が二,四四五名、学生は一,〇一八名で第三位を占めて居る。
感想・口コミ
出来事を検索する
検索するキーワード 表示結果
検索期間
日 ~
エリア
死者数
ジャンル指定