わが子がこわい 警視庁の少年相談所に急増 母親をなぐる、ける 外ではよい子なのに 朝日新聞引用

1967年09月09日 (昭42)
 外ではよい子なのに、家の中では母親に乱暴をする少年がこの春ごろから目立ってふえてきた。顔や身体にアザやコブをつくって、警視庁少年相談所を訪れる母親、同所の相談の3分の1はこうした乱暴少年のケースだという。
 その1人、杉並区の母親(43)の訴え――長男A君(16)は、都立高1年生。昨年秋ごろから家の中で突然暴力を振い出した。出前のラーメンをどんぶりごと床に投げつけたり、晩ご飯では食卓ごとひっくり返したり、花びんや灰皿を投げつけたり、母親の返事が気にいらないと「バカヤロウ」呼ばわりの悪態をつき、なぐるけるの乱暴。
 しかし学校では、粗暴な振まいは全くなく、性格に暗いところもない。学校の成績はクラスで上位、同級生の受けもいい方。この家族は会社社長の父親(44)、中学1年の妹(13)、小学5年の弟(10)の5人暮らし。
 こうした少年に共通するのは高校1、2年生で、中流家庭の長男、学校の成績は上位、家庭外での非行歴ナシといったところ。心理学者のなかには「戦後、家庭における父親の権威が失墜したこと、しつけや道徳教育の不在」に理由を求めたり、「思春期特有の反抗現象の極端なもの」と説明する。直接面接指導しているカウンセラーたちは「これまでの教育心理学や児童心理学では説明できない。かといって精神病者ほどではない」と首をかしげている。乱暴され片目を失明した母親さえいる。
(朝日新聞 昭和42年9・9)
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