乱暴少年三つのタイプ「よい子」にもある反抗 警視庁の調査 朝日新聞引用

1967年09月15日 (昭42)
 母親にすぐ乱暴する子どもが問題になっているが、警視庁少年相談所ではこのほど、これまでに持込まれた相談をもとに乱暴少年の実態をまとめた結果、乱暴児たちが一応三つのタイプに分けられることが明らかになった。しかし、こうした乱暴児を生んだ原因やその治療法についてはまだ不明な点が多いため、同相談所ではそれぞれの専門分野からの意見を聞き、治療法などを研究するという。
 同相談所では、さる四月からこれまで受理した少年相談の内容を整理、分類してみたところ、乱暴児の訴えが予想外に多く、三十八件もあることがわかった。この中には浅草、新宿、大森、立川の各少年センターや第一線の警察署で受けた相談は含まれていないので、実際の数字はさらに多いとみられる。
 乱暴児の相談内容を調べると、「暴発」するさいの状況や前後の事情、本人の育ってきた過程と家族関係からみて一応三つのタイプに分けてとらえられる。
 第一のタイプは、小さいときから親に非常に大事に育てられ、普通三つ四つのころに出る「ダダっ子現象」があまりみられなかった「よい子」に多く、反抗のかたちに幼児じみたところがあるという。
 第二のタイプは、小中学生のころから「勉強、勉強」と母親にいわれてきた子ども多く、母親のことを「ママゴン」と呼ぶなど半ばおそれながら従っていたのが、高校にはいったころから逆にバカにし出すケースがほとんど。
 第三のタイプは、家庭環境や家族関係には特に問題がなく、いわば「理由なき反抗」ともいえるタイプ。本人の気質の中に、テンカン質やヒステリー性らしいふしもいくぶんみられるという。
 しかし、この三つの型に必ずしもあてはまらない乱暴児の例もかなりあるといい、また教育ママに育てられたからといって必ずこののような乱暴児になるとは限らないので、育ってきた生活環境がどこまで原因につながるものかはっきりしない。
 少年相談所では、これらの「臨床例」からえた資料をもとに、都内の少年相談所や青少年施設、社会福祉、精神医学など各分野の専門家の協力をえて、「問題行動児のケースワーク研究会」を開き、治療法をいろいろな角度から研究したい、といっている。
(朝日新聞 昭和42年9・15)
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